10月のある晴れた日、宍道湖の夕陽を撮影に行きました。
シャッターを切っていると、お子さん連れの女性の姿がファインダー(カメラの覗き窓)に入って来ました。
湖の岸辺で娘さんを抱きかかえ、慈しむように笑顔を向けていました。夕陽に照らされる2人の姿はとても印象的でした。
「西方浄土」。古くから人々は、西に沈む夕陽を眺めながら、遠くにあるお浄土を思い浮かべました。
お浄土は、いのち終われば必ず帰って行く場所。
「必ずあなたを浄土に生まれさせる」
阿弥陀さまは、この私に帰るところを知らせてくださいます。
煩悩の闇の中で迷い苦しむ私の心を見通し心配する親ごころ。子を抱く親の思いと同じように、阿弥陀さまのお慈悲の光は、お浄土からいつもこの私を優しく照らし、包み込んでくださっています。
本願力にあひぬれば
むなしくすぐるひとぞなき
功徳の宝海みちみちて
煩悩の濁水へだてなし(高僧和讃)
「南無阿弥陀仏」と手を合わせお念仏をいただくことは、阿弥陀さまのお慈悲に抱かれていることを素直に喜んでいく姿。
この私が、阿弥陀さまの光に抱かれていることに気づくとき、これからの人生を力強く歩いていくことができるのです。
宍道湖のほとりで、母親の腕に抱かれた女の子は、安心しきった表情で微笑みを浮かべていました。